あらまし
千葉県船橋市──。
猛暑日に訪れたこの街で、自分の「つけ麺観」を大きく変える一杯に出会った。
その店の名は 「とものもと」。
食べログ「百名店2024」にも選ばれた実力店で、船橋駅から徒歩10分、東海神駅の目の前に佇んでいる。
上から読んでも「とものもと」、下から読んでも「とものもと」。
「友の素」という意味なのだろうか。
名前だけは知っていたが、訪問したのはこの日が初めて。
そして口にした瞬間に「なぜもっと早く来なかったのだろう」と後悔した。
店に着くまで
本来は別のラーメン店を目指していたが、「スープ不出来により臨時休業」の張り紙。
失意の中で思い浮かんだのが「とものもと」だった。
炎天下の中、1km以上を歩く。駅を抜け、公園を抜け、住宅街を抜けると、ようやく店が見えた。
すでに10人ほどの行列。並び始めて30分、ようやく店内へ。
食券を前に「ラーメンにするか、つけ麺にするか」で迷う。
評判と季節に背中を押され、選んだのはつけ麺大盛+チャーシュー+煮卵+ワンタン+チャーシューご飯。
合計2,250円──大盤振る舞いだが「感動できれば安い」と心に決めた。
衝撃のつけ麺体験
麺
麺が美しく折りたたまれ、ただならぬ気配を放つ。
まずは店員のすすめどおり「塩で一口」。
箸で数本リフトし、塩をまとわせ、口へ運ぶ。
ーーー「???なんだ、この喉越しは!!!」ーーー
小麦の旨みが塩で引き立ち、塩だけで完食できそうなほど。
これまで味わったことのない衝撃的な体験だった。
その喉越しは、かつて武豊がディープインパクトに騎乗した時に残した名言──
「空を飛んでいるようだ」を思い起こさせた。
人は本当に感動すると、空を飛ぶような感覚になるのかもしれない。
スープ
動物系の旨み、醤油のキレ、酸味。
三位一体となり、絶妙なバランスを奏でる。
さらに麺は昆布水に浸され、昆布水そのものを飲んでも滋味深く美味しい。
トッピング
- ワンタン:てるてる坊主のように浮かぶ遊び心ある姿。
- チャーシュー2種:低温調理と炙り、それぞれ異なる旨さ。
- 煮卵とメンマ:味付け濃いめでご飯にも合う。
- チャーシューご飯:炙りの香ばしさが際立ち、別皿のチャーシューとは違った世界を見せてくれる。
すべての要素が高次元で調和し、完食する頃には幸福感に満ちていた。
最後は昆布水とつけ汁を割り、余韻を楽しみ尽くした。
感想・まとめ
「とものもと」のつけ麺は、ただ美味しいだけではない。
麺の喉越しに衝撃を受け、スープの奥行きに感動し、具材の一つひとつに物語を感じる。
ラーメンとの出会いは人との出会いに似ている。
普段と違う行動をしたからこそ、この一杯に巡り会えた。
「前から後ろから、上から下から」──どの角度から見ても素晴らしい。
店名「とものもと」が示すように、いつまでも記憶に残る出会いとなった。
店舗情報
- 店名:とものもと
- 住所:千葉県船橋市(東海神駅すぐ)
- 最寄駅:JR船橋駅から徒歩10分/東海神駅すぐ
- 受賞歴:食べログ 百名店2024
- 主な人気メニュー:つけ麺・ラーメン
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