1 札幌ブラック
皆さんは札幌のラーメンといえば何を思い浮かべますか?
9割9分の人は「味噌ラーメン」を思い浮かべるのではないだろうか。
そんな私も札幌といえば味噌ラーメンを真っ先に思い浮かべることは言うまでもない。
しかし。ここのラーメン屋に出会ってからこの概念は覆された。
札幌には味噌以外にもうまいラーメンがあると教えてくれたこの店は「いそのかづお」。
坊主頭で3頭身のあのキャラクターを思い浮かべる人が9割9分であろうが、札幌のラーメン店の名称である。
まず、この店で誰もが頼むのは「札幌ブラック」と呼ばれる漆黒のラーメンである。
写真を見てほしい。
漆黒のスープに浮かぶ半分に切られた卵が夜空に浮かぶ月のようである。
また写真の調味料を見てほしい。
一味は「いちみちゃん」でコショウは「こしょうさん」と書かれている。
国民的某アニメの世界観がここにはある。
また、もう一つ特徴的なのが、札幌ススキノの街で夜限定の営業時間ということである。
にもかかわらず、私が並んだ時には大行列ができており、この店の人気を垣間見ることができた。
夜食として、飲んだ後の〆の一杯としてこの店は深く愛されているのである。
そんな私も、ジンギスカンを食べながらビールを飲んだ後にこの店を訪れている。
2 着丼
ようやく、1時間くらいは並んだであろうか。
食べたジンギスカンの消化も促され、美味しくラーメンを食べれるコンディションに戻った。
カウンターにすわり、「札幌ブラック」を迷わず注文。
注文後も店に売られているお土産に目をやりながらラーメンとの対面を待つ。
店主一人で切り盛りしているが、テキパキと注文からラーメンの調理までこなしている。
そんな姿に感心しながらも、ふと後ろを振り返ると途切れぬ行列をふたたび目にしあらためてこの店の凄さを思い知らされる。
そしていざ「札幌ブラック」が着丼。
見た目の濃さとは裏腹に、スープの濃度はちょうどいい。
しょっぱいのかなと思いきやそんなことはなく、黄色いちぢれ麺との相性も抜群でどんどん箸が進む。
焦がしニンニクの風味も感じ、飲んだ後のラーメンにもジャストフィット。
ススキノの夜を丼で表現しているのかなと思うくらいに、ススキノの街に溶け込んでいた。
「札幌では味噌ラーメンばかり食べてたけど、こんなにうまい醤油ラーメンもあるんだな。」
と札幌のラーメンに関する固定観念が崩れ去った瞬間である。
3 固定観念について
皆さんは、博多といえば豚骨ラーメン、札幌といえば味噌ラーメン・・・というように固定観念に縛られていることはないであろうか。
私はこのラーメンに出会い、良くも悪くもイメージに縛られてはいけないという点について反省するに至った。
今回は良い意味で「札幌ラーメン」の概念を覆すに至ったが、普段の実生活ではどうだろうか。
例えば、ボロボロの服をきている人を見れば「ああ、服にお金をかけれないんだなあ」とお金を持っていない人を想像するかもしれない。
しかし、実は服に対しては着れればいいやという価値観の持ち主で、馬が大好きで何億円もする競走馬を持っている大金持ちかもしれない。
その逆でブランド物を頭の先からつま先まで揃えている人も一見お金持ちに見えるが、実は借金が何千万もあるとかかもしれない。
もしくは、見た目どおりボロボロの服を着ている人はお金を持ってないかもしれないし、ブランドもので身を固めている人は大金持ちかもしれない。
そんなことを「札幌ブラック」から学んだような気がする。
ーーー俺は物事を色眼鏡で見ずに、固定観念に縛られずに生きたいーーー