味噌ラーメン界のオオカミ「狼スープ」。生姜が効いた一杯が、10年の記憶を呼び覚ます

麺旅一郎 札幌編〜狼スープのパンチ味噌ラーメン〜

1 パンチの効いた味噌ラーメン

麺旅一郎企画では、当然ながらラーメンばかりを食べ歩いている。

そして札幌といえば、やはり味噌ラーメン。

今回訪れたのは、その名も 「狼スープ」。

もちろん狼で出汁を取っているわけではない。

かつて北海道には「エゾオオカミ」という種が生息していたが、明治初期に絶滅したとされる。狼の名を冠するこの店が、ラーメン界でどんな存在感を放っているのか、期待が高まる。

2 店へ向かう道すがら

札幌駅から中島公園駅へ電車で移動し、公園内を歩いて店へ向かう。

この日、公園では結婚式の写真撮影が行われており、正装した新郎新婦と参列者が幸せそうな時間を過ごしていた。まるで自分もその1ページを共有したかのようで、足取りも軽くなった。

やがて見えてきた「狼スープ」。

実は10年ほど前にも訪れたことがある。当時は店先に大きな賢そうな犬がいて、まるで看板娘のように客を迎えていたのを覚えている。炎天下の中、その犬とともに行列に並んだ記憶がよみがえる。

今回は曇り空で、待ち時間も快適。読書をしながら順番を待ち、開店と同時に入店した。

3 豪華なスペシャルラーメン

列に並んでいる時に注文を聞かれ、選んだのは「全部のせ」的なスペシャルラーメン。

大ぶりのチャーシュー、ワンタン、有精卵──豪華な具材が勢揃いしている。

店内には有名人のサイン色紙が天井までびっしりと貼られており、待ち時間も退屈しない。

「あの人も来たのか」「これは誰のサインだろう」──そんな想像を巡らせているうちに、ついに着丼の瞬間が訪れた。

4 10年越しの再会

黄金色に輝く味噌ラーメン。

レンゲを手に取り、まずはスープをひと口。

「うん、この味!」

10年前に感動した味わいは、記憶の中の味を超えて進化していた。

時間の流れは恐ろしく早いはずなのに、不思議とその年月を感じさせない。

歳を重ねるごとに時間の流れは加速すると言われるが、この一杯は一瞬で当時の自分に引き戻してくれる。

生姜が効いたスープはパンチがありながら優しく、多くの有名人が舌鼓を打ってきた理由も納得である。

5 ラーメン界のオオカミ

完食して店を後にする頃、ふと思った。

オオカミという種はすでに絶滅した。

しかしラーメン界のオオカミ「狼スープ」は、今も北の大地で逞しく生き続けている。

ーーー一瞬の人生に、忘れられない味の記憶を刻む一杯。

それが「狼スープ」の味噌ラーメンであった。

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