1. 悪魔からの誘い
皆さんは今まで食べた中で一番「しょっぱかった食べ物」は何だろうか。
私にとって間違いなくそれは 一条流がんこラーメン総本家の「悪魔ラーメン」 である。
単にしょっぱいだけではなく、人生で一番心を揺さぶられた唯一無二のラーメンでもあった。
初めてその存在を知ったのは、ドラマ版『ラーメン大好き小泉さん』。
物語に登場した数々の店の中でも「悪魔ラーメン」だけが強烈に記憶に残った。
「この悪魔ラーメンは絶対に食べたい!」
そう心に誓った瞬間、気がつけば私は四谷三丁目にある総本家へと足を運んでいた。
2. 悪魔との死闘 〜その先にあるもの〜
普通、しょっぱすぎる食べ物は美味しくない。
喉が渇き、血圧が上がり、体が浮腫む。
しかし、悪魔ラーメンは違った。
しょっぱさの向こうに中毒性があり、ハマる人が続出していたのである。
ある日、店主からの「今日は何にします?」の問いに対し、私は勇気を振り絞って「悪魔大盛りで」と答えた。
着丼した丼のスープは、いつもの上品(澄んだスープ)や下品(濁ったスープ)よりもさらに濃く、黒々としていた。
ひと口スープをすすった瞬間――
「しょっぱーーい!…でも、うまい!」
しょっぱさが前面に出ながらも、旨みが確かに存在していた。
互いがぶつかることなく、“しょっぱさと旨さのダブルセンター” を形成していたのである。
3. 悪魔の虜、爆誕!
箸は止まらず、水を飲むこともなく麺は減っていく。
恐れていた「しょっぱすぎて残す」という事態にはならず、見事に完食。
店主からは「おう、完食したね。悪魔ラーメンは食べ終わってからまた食べたくなるよ」と声をかけられた。
ーーーそして数日後ーーー
店主の言葉どおり、私は無性に悪魔ラーメンを求める体になっていた。
悪魔の虜の誕生である。
4. 悪魔ラーメンのような生き方
当時の私は、仕事や人生にモヤモヤを抱えていた。
周囲からは羨ましがられる職であっても、どこか物足りなさを感じていた。
「このまま何もなく定年を迎え、無難な人生で終わるのだろうか」
そんな不安を抱えながら日々を過ごしていた。
だが、悪魔ラーメンを通じて気づかされたことがある。
「しょっぱい中にも旨みを足しながら歩んでいけばいい。」
人生もラーメンも、外れ値的に尖っていても、それを上回る旨みがあれば誰にも負けない一杯になる。
私にとって悪魔ラーメンは倒すべき存在ではなく、
むしろ「生き方の教訓を授けてくれた神様のような存在」であった。
まとめ
- 一条流がんこラーメン総本家の「悪魔ラーメン」は唯一無二のしょっぱさ
- しょっぱさと旨みが共存する中毒性のある一杯
- 人生に重ねれば「尖りながらも旨みを持つ生き方」の教訓
ーーー悪魔ラーメンは、私にとって人生を照らす“悪魔の顔をした神”である。ーーー