今回の店は色々な発見がたくさんあった。
これからひとつひとつ詳しく述べていきたい。
まず、凪本店はどこにあるのか。
場所は東京都新宿区歌舞伎町のゴールデン街である。
古く趣のある建物が所狭しと並んでいる日本を代表する街である。
そんな眠らない街歌舞伎町のゴールデン街に佇むなぎ本店も24時間営業で眠らないラーメン屋といえよう。
そしてラーメンの大きな特徴として「濃厚煮干しラーメン」ということが挙げられる。
店に着くと、早速行列ができている。
行列がどこにできているのかというと、壁と壁の間(人がすれ違えないくらい超狭い)である。
行列に並ぶのに、前からでなく周りの建物を一周してから列に並んだ。
並んでる間に壁に目をやるとメニュー表が貼ってある。
何にしようか眺めていると「特製すごい煮干しラーメン」が目に入った。
「よし、これの大盛りで行こう!」
今日の麺食が決定した。
しばらく並んでいると、従業員に呼ばれ階段を登るように促される。
階段は赤いライトに照らされており、ハシゴのように急だ。
俺はふと自分の幼少時代を思い出した。
ーーー俺が小学生の頃ーーーー
よく、夏休みに祖父母の家に遊びに行っていた。
祖父母に会うのは嬉しかったのだが、ゲームやいつも遊んでいる友達に会えないなど退屈な一面もあった。
飛行機でロータリーに到着すると、いつも嬉しそうな顔で車で出迎えてくれる祖父。
小学生の俺の小さな手を握り、手を繋ぎながら車へと誘導してくれていた。
そんな祖父母の家も2階建てで、1階は台所やダイニングなどがあり2階は昔は父の部屋であったらしいが父が巣立った後は何もない部屋となっていた。
その2階に上がるときに「ハシゴのような階段」を登って2階に行く。
そして、従兄弟などと遊ぶときは必ず2階で遊んでいた。
その、楽しい思い出を辿るとき、いつもそこには「ハシゴのような階段」があった。
「なんか、祖父母の家の階段みたいだな。」
ラーメンへの期待を胸に抱きながら階段を一歩一歩登る。
そして席に案内されるが、めちゃめちゃ狭い。
隣の人の肩に触れてしまいそうなくらい狭い。
しかしながら不思議なことにこの店ではそれも味の一つとなっており、悪くない。
周りのたくさんの有名人のサインに見惚れている間に、いざ着丼。
「海苔でっけーーーえ」
これが初対面の第一印象である。
写真を見てほしい。
普通の海苔の大きさの10倍くらいある。
まさに船の凪そのものである。
でっかいチャーシューにワンタン、煮卵、ネギ。
うん、何もいうことはない。
まずはスープから。
「煮干しが濃くてたまらなくうまい!」
そして少し平べったいモチモチの麺もスープに最高に合う!
ワンタンも言わずもがな最高!
そして真ん中のネギと煮干しの上にかかっている唐辛子も全体的に合う。
まるで、大海原を航海する1隻の船のようだ。
口の中いっぱいに広がる煮干しの風味がそんなことを連想させる。
真ん中の唐辛子は海底の活火山か?
なんてことを考えながら、面が少なくなっていたっとき、ノリをスープに沈ませた。
そこで想定外の事態が起きる。
スープに海苔を沈ませたら、海苔の風味により味変が起きたのだ。
海苔の風味がいい意味でアクセントになっている。
煮干しスープとの相性もバッチリだ。
そういえば、祖父母の家でも出前のラーメンを頼んでくれたっけ。
いつも俺は醤油ラーメンを頼み、サランラップと輪ゴムで閉じられた丼をあけ、ラーメンを啜ると少し麺は伸びてたけど格別に美味かった気がする。
小学生の頃から俺も成人し、社会という大海原に飛び込んだわけだが舵取りはうまくいっているであろうか。
一直線に目的に向かっているような舵取りではない。
ただ、大まかに目的地方面へは向かっている気がする。
ーーーはしごのような階段を登ったその先には、社会という大海原の舵取りを連想させる一杯があったーーー