かつて学生の頃、友達と一緒によく競馬を嗜んでいたことがある。
いわゆるJRAのG1レースをメインに賭けており、場外馬券売り場のある錦糸町によく行っていた。
1レースに賭けるお金は1万円。
前日に競馬新聞を買い、ジョッキーが誰か、休み明け何戦目か、レース展開はどうか、血統は?・・・
こんな感じで予想するファクターがたくさんあるため、友人と一緒に予想を披露しあってそれぞれの見解を述べるのが楽しかった記憶がある。
そんな自分の中では競馬の思い出しかないのだが、久々に錦糸町に立ち寄った。
お目当ては「錦糸町ニューウイング」である。
サウナの聖地と呼ばれており、美味しいサウナ飯(もちろんラーメン)とサウナを求めて駅から歩く。
当時の風景をはっきりと思い出すことはできないのだが、人の多さは昔と変わらず多いような気がした。
信号を渡り、亀戸餃子錦糸町店の前をとおり、あっという間に店に到着した。
受付でお金を払い、ロッカーの前に着く。
受付ではロッカーの鍵しか渡されてなかったが、館内着一式とタオル類はロッカーの中に入っていた。
早速着替えて、浴場へと向かう。
いつもどおり体を清めた後にサウナへ向かうのだが、どうやらサウナは3室あるらしい。
どのサウナから入るか迷ったが、一番席数が多いサウナから入ることにした。
このサウナは「ボナサームサウナ」と呼ばれており、湿気が多く体に負担がかからないサウナらしい。
早速入ってみると、確かに湿気がすごく、湿気と共に汗が滴ってきた。
サウナ時計が見えない位置に座ったので、テレビの音を聴きながら適度なところでサウナの外へ出た。
そして、驚いたのが水風呂である。
2種類用意されているのだが、大きい方は泳げるくらいの広さがある水風呂だ。
水温も15度程度と申し分ない。
水風呂に入る時は、収容人数の関係でゆっくりと浸かれないときがあるがここなら大丈夫。
思う存分、水風呂を嗜んだ後にととのい椅子へ。
椅子の数も申し分ないほど十分に用意されており、目を瞑りながらゆっくりと体を休める。
次に向かったのは、「からからジールサウナ」と呼ばれるサウナで高温であることが特徴だ。
早速ドアを開け、中に入ると階段が2段あり突き当たりにはサウナストーンがある。
2段進んだ先で左と右にそれぞれ席がある感じだ。
どちらに進もうか迷っていると、右のスペース奥に人一人分入れるスペースを見つけたのでそこへ向かう。
中に入ると、斜め45度くらいの角度で背もたれがついている構造になっておりタオルが敷かれている。
つまり、半分寝ながらサウナを楽しめる特等席がこのサウナにはついているのだ。
目を瞑りながら、ゆっくりとおそろおそる背中を背もたれに合わせてみる。
そして目を開けると目の前には木でできた近い天井と、サウナ室に流れているラジオ。
カラカラで高温の俺好みのイケてるサウナ。
ーーーーああ、なんか昔作った秘密基地を思い出すなあーーーー
小学生の頃、ダンボールを組み合わせて人一人入れるくらいのスペースで秘密基地を作って、集合住宅の外のスペースに設置し、ポータブルゲームや駄菓子を持ち出して遊んでいたことがある。
親からはみっともないと怒られたりもしたが、俺にとっては居心地のいいスペースだった。
「人目を遮りながら、自分の好きなことに集中できる」
なぜ居心地が良かったかを言語化するならば、こういうことなのだろう。
このまま横になっていると寝てしまいそうだったので意識的に体を起こしサウナ室の外へ出た。
最後のサウナは、暗闇の中で席数が4席ほどあり、邦楽を聴きながらロウリュウも楽しめる室温が低めのサウナである。
俺はサウナストーンの真ん前の席に座り、後から入ってきた人がロウリュウを二杯ほどしたが、熱すぎることもなく心地よかった。
総じてレベルの高いサウナと水風呂を味わった後に、お待ちかねのサ飯(ラーメン)。
実は俺の中では長崎ちゃんぽんを食べると決めていた。
食堂へ行く途中の階段のポスターに「実家の長崎にしばらく帰れていないスタッフが故郷を思い出すために作った長崎ちゃんぽん」という趣旨のことが書かれており、気になっていたのだ。
いざ、ちゃんぽんが運ばれてくると思ったより本格的でびっくりした。
調味料にラー油とお酢も添えられている。
本場ではマストな調味料なのだろうか。
個性的なサウナと水風呂でととのった後の長崎ちゃんぽん。
スタッフが故郷を思いながら作ったメニューなだけあり、体にスーッと優しく入っていく王道で美味しいちゃんぽんであった。
スタッフはこのちゃんぽんを食べるたびに昔の思い出が蘇っているのだろうか。
ーーーーサウナの聖地錦糸町ニューウイングは、個性的で懐かしさに溢れた場所だった。ーーーー