1. 上野という街で
東京都台東区・上野。
東北地方へと繋がる「玄関口」としての役割を果たし、「上野発の夜行列車〜🎵」という有名な歌にも歌われてきた街。
駅前には東京ドーム約11個分の広さを誇る「上野恩賜公園」。動物園、美術館、博物館、桜並木——日本屈指の文化と自然を抱える場所。
そんな上野駅から高架線沿いを少し歩いたところに、伝説の町中華「珍珍軒」がある。
JR線の高架下、常に人で賑わうその界隈で、半分アウトドアのような感覚で啜るラーメン。
上野の空気を吸い込みながら食べる一杯は、何物にも代え難い。
2. ラーメンは「シチュエーションの料理」だ
同じラーメンでも、食べるシチュエーションによって味は変わる。
「気の合う友人と食べるラーメン」と「高圧的な上司と食べるラーメン」。
「無臭の席」と「トイレ芳香剤が強烈に香る席」。
どちらが美味しいかは、言うまでもない。
だからこそ、珍珍軒には“ラーメンが美味しくなるシチュエーション”が揃っている。
高架を電車が走り抜ける音、人の流れ、店内の声、鍋を振る音。
そのすべてがスパイスになって、ラーメンをより美味しくする。
3. 名物チャーハン、そしてラーメン
珍珍軒といえば、名物はやはり チャーハン。
しっとり系の代表格で、常連も観光客もこぞって頼む大人気メニューだ。
だが、忘れてはいけないのがラーメン。
昔ながらの中華そば。細麺のちぢれ麺に、鶏ガラの効いたスープ。サヤエンドウ、シナチク、チャーシュー。
あっさりとしていながら、懐かしさと安心感が押し寄せてくる一杯。
俺流のおすすめは「チャーハン+餃子+ラーメン+ビール」。
ちなみに、チャーハンのスープはラーメンと同じなので、頼むときは断るのが通の選択。
4. 実食の瞬間
まず届くのは生ビール。そしてサービスの「きゅうりの糠漬け」。
卓上の自家製ラー油をかければ、ピリ辛で箸が止まらない。
ふと外に目をやると、高架を走る電車の轟音、道ゆく人の足音、チャーハンを炒める鍋の音、店内の話し声。
それらがすべて重なり合い、まるで昭和にタイムスリップしたかのような感覚に浸る。
そして着丼。
湯気とともに立ち上る香り。
鶏ガラと野菜の旨みが効いたスープに、細麺がよく絡む。厚みのあるチャーシュー、たっぷりのシナチク、そして珍しいサヤエンドウが彩りを添える。
この一杯に、上野という街のノスタルジーが凝縮されている。
5. まとめ:ふらっと立ち寄りたくなる場所
大都会の真ん中で、ふと立ち寄り、外の空気を吸いながら啜るラーメン。
珍珍軒は、そんな体験をさせてくれる貴重な町中華だ。
- チャーハンの旨さ
- 鶏ガラ中華そばの安心感
- 高架下のノスタルジックな雰囲気
気づけばまた足を運んでしまう。
ここで食べるラーメンは、味だけでなく“時間”までも美味しくしてくれる。